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【東野圭吾】『新参者』についての解説と感想

本記事では東野圭吾さんの小説『新参者』の紹介します。

加賀恭一郎シリーズの第八作目にあたる作品です。

新参者

新参者

著者:東野圭吾

出版社:講談社

ページ数:416ページ

読了日:2023年3月7日

 

加賀恭一郎シリーズ第八作目である『新参者』。

このミステリーが凄い2010年一位

前作までは練馬署の刑事だったが、

今作では日本橋署に異動して直後の話になっている。

また今作は連作短編集になっている。

2010年4月期にTBS系で阿部寛さん主演で連続ドラマ化されている。

 

あらすじ

 

第一章 煎餅屋の娘

煎餅屋『あまから』を日本橋署の加賀恭一郎と警視庁の人間が訪れた。

警察の目的は新都生命の田倉が何時ごろ『あまから』を訪れたか。

田倉は日本橋小伝馬町で起きた殺人事件で事件当日に被害者宅を訪れていたのだ。

田倉は会社を出たのは六時四十分頃に出たと主張するが、

保険会社の同僚は六時十分頃に出たと言う。

 

第二章 料亭の小僧

『まつ矢』の給仕の修平は加賀と二人の刑事に人形焼きを買ったかを聞かれる。

その人形焼きは『まつ矢』の主人の泰治から内緒で頼まれたいたものだったので、

刑事には自分で人形焼きを食べて容器も捨ててしまったと答える。

修平は新聞で小伝馬町で起きた殺人事件のことを知って、

事件の被害者が泰治の愛人で、

泰治が犯人なのかと疑問を持つが誰にも相談できずにいた時に

加賀が客として『まつ矢』を訪れる。

 

第三章 瀬戸物屋の嫁

瀬戸物屋『柳沢商店』では店主の鈴江と

鈴江の息子・尚哉の嫁の麻紀の嫁姑問題があった。

そんな時に『柳沢商店』を加賀が訪ねてきて、

小伝馬町の事件の被害者三井峯子を知っているか聞いてくる。

尚哉は加賀が柳沢麻紀の名前を知っていたことを不審に思う。

 

第四章 時計屋の犬

『寺田時計店』を訪ねてきた加賀は主人の寺田玄一に六月十日の夕方六時ごろに

どこにいたかを尋ねる。

その時間は犬の散歩中で浜町公園で三井峯子に会ったと玄一は答える。

翌日も加賀は『寺田時計店』を訪れて同じことを確認するが。

 

第五章 洋菓子屋の店員

清瀬弘毅は父親・直弘からの電話で母親・峯子が殺されたことを知らされる。

峯子が弘毅が住んでいる浅草橋の近くの小伝馬町に住んでいたを疑問に思い、

事件現場のマンションを訪ねると、加賀刑事がいて部屋を見せてもらうが。

 

第六章 翻訳家の友

事件の第一発見者であり、峯子の友人の吉岡多美子。

多美子は待ち合わせ時間を一時間を遅らせたことが峯子が何者かに殺されたと

自責の念を抱えていた。

 

第七章 清掃屋の社長

清瀬弘毅は峯子が死の直前まで何を考え、

どんな風に生活をしていたか知ろうと思い峯子の弁護士の高町静子に会いに行く。

しかし、弁護士の高町静子はプライバシーのためほとんど話をしてくれなかった。

なので、加賀に会いに行くが、

反対に加賀に両親の離婚の原因について聞かれて弘毅は戸惑ってしまう。

 

第八章 民芸品屋の客

加賀から独楽について聞かれ、六月十二日に一個売れていると答える。

その日はバイトの菅原美咲が店番をしていたため、

翌日に加賀は美咲から話を聞きに再び訪れる。

そして表に出ている独楽をすべて買っていく。

 

第九章 日本橋の刑事

警視庁捜査一課の上杉博史は岸田要作のところへ話を聞きに行こうとするが、

加賀が同行を申し出てきて、岸田の元を訪ねるが。

 

登場人物

加賀恭一郎:日本橋署の刑事。三十五歳前後。警部補。

 

三井峯子:事件の被害者。四十五歳。

     二か月ほど前に日本橋小伝馬町に引っ越してきた。

清瀬弘毅:峯子の息子。浅草橋に住んでいる。大学を中退して

清瀬直弘:峯子の元夫。清掃会社の社長。

 

上杉博史:警視庁捜査一課。

上川菜穂:煎餅屋『あまから』の娘。美容学校の生徒。

上川聡子:菜穂の祖母。胆管炎で二か月ほど入院していた。

上川文孝:煎餅屋『あまから』の主人。菜穂の父親。

田倉慎一:新都生命の社員。

 

修平:十七歳。料亭『まつ矢』の給仕。

頼子:料亭『まつ矢』の女将。

泰治:料亭『まつ矢』の主人。頼子の夫。

克也:修平の先輩。

アサミ:銀座のホステス。

 

柳沢尚哉:大手ゼネコンのサービスマン。

柳沢麻紀:尚哉の妻。

柳沢鈴江:瀬戸物屋『柳沢商店』の店主。

 

米岡彰文:『寺田時計店』の従業員。

寺田玄一:『寺田時計店』の店主。

寺田志摩子:玄一の妻。

 

美雪:洋菓子屋『クアトロ』の店員。

青山亜美:弘毅の恋人。専門学校生。喫茶店の『黒茶屋』でバイトをしている。

藤原真智子:三井峯子の大学時代からの友人。三月からシアトル在住。

 

吉岡多美子:翻訳家。三井峯子の大学時代からの友人。

コウジ・タチバナ:日系英国人。吉岡多美子の恋人。

 

高町静子:三井峯子の弁護士。

岸田要作:岸田税理士事務所。清瀬直弘の大学の一年後輩。

宮本祐理:清瀬直弘の秘書。

戸紀子:スナックの雇われママ。

 

藤山雅代:民芸品屋『ほおづき屋』の店主。

菅原美咲:『ほおづき屋』のアルバイト店員。

 

岸田克哉:二十九歳。岸田要作の息子。建設コンサルタント会社の経理部。

岸田玲子:二十九歳。克哉の妻。克哉とは高校時代の同級生。

感想

感想

それぞれの章ごとに感想を書こうかとも思ったけれど、

ちょっと難しかったのでまとめて書く。

 

まず、大きな謎として三井峯子が被害者の小伝馬町の殺人事件があって、

この小伝馬町の事件に関連する人間たちの小さな謎を解き明かしたり、

事件によって心が傷ついた人を救ったりする。

前作の『赤い指』あたりから続く事件そのものの謎もありつつ、

それに関係する人間たちを救うという話。

この物語に相応しい舞台としてなのかはわからないけど、

練馬から日本橋に舞台を移している。

加賀が日本橋警察署に異動した直後の「新参者」として物語ははじまる。

 

とにかく人情ものです。

全編通して人情ものになっているけど、

ミステリー要素もしっかりあるのは流石東野さんという感じでしょうか。

あの人もあの人も人情路線というのは

流石にやりすぎという気がしないでもないけれど、

人情ものの連作短編集と考えればアリかな。

 

第一章から第四章までは事件の枝葉の部分で、

こっちの方が好きかな。

第五章から第九章は悪くないんだけど、

本筋の話で、

おそらく東野圭吾さんの他の作品にも似たようなのはあると思うんだよな。

なので、第一章から第四章の方が珍しい分好きかなと。

 

読んでた時は気にならなかったけれど、

ブログを書いてると気になったのは、やっぱり加賀が凄すぎるんだよな。

全てを解決するから若干やりすぎな感じはした。