【背筋】『口に関するアンケート』についての解説と感想

口に関するアンケート

 

本記事では背筋さんの小説『口に関するアンケート』を紹介します。

口に関するアンケート

 

著者:背筋

出版社:ポプラ社

ページ数:63ページ

読了日:2026年1月19日

満足度:★★☆☆☆

 

背筋さんの『口に関するアンケート』

2026年に映画が公開される予定。

 

あらすじ

 

ネットでも有名な心霊スポットの「K墓地」を肝試しで訪れた大学生たち。

「K墓地」には呪われた木という大きな木があり、夜に木の下に行くと、

お墓に埋葬された人の霊が立っている、ということがネットの掲示板に書かれていた。

そこで、大学生たちは一人ずつ墓地の中を歩いて、木の下を通ることにした。

肝試しから一ヶ月後、

肝試しから連絡が取れなくなっていた人物が墓地で自殺していたのが見つかる。

 

ネタバレなしの感想

 

本作『口に関するアンケート』は、

心霊スポットとして有名な墓地に肝試しに向かった大学生たち。

その中の一人の女子大学生が姿を消した。

墓地を訪れた他の大学生たちの証言から明らかになる「真相」は何なのか?

というものになっている。

 

本作は、『近畿地方のある場所について』の背筋さんの本ということで、

ジャンルとしてはホラーやモキュメンタリー・ホラーになっている。

ただ印象としては、一般的なホラーにある要素を付け加えて一冊の本にした、

というぐらいで正直モキュメンタリー感はあまりしない。

それもそのはずで、ページ数も63ページという、

一般的な書籍としてはかなりの短さで、そこまで濃い内容のものではないから。

しかも本作はスマホ以下のサイズというかなり特殊な形なので、

ページ数の割に文字数も少なくなっている。

それもあって、本作の値段は税別550円というかなりの安さ。

 

読んだ感想としては、まずネット上にある怖い話を超えるものはない

ラストまで読んではじめて、

タイトルの『口に関するアンケート』の意味が分かるというのは良かった。

多少凝った作りになっているのは分かるし、

ただの怖い話ではなく、ひとつの作品になっているのも分かるけれど、

そこまで絶賛するほどでもない。

ただ値段も安く、ページ数も少なく短時間で読むことが可能なので、

気になった方は実際に手に取って読んでみるのもいいかもしれない

 

 

登場人物(ネタバレ要素あり)

 

・村井翔太:杏の前の恋人。大学生。

・杏:大学生。

・伊藤竜也:杏の恋人。大学生。

・原美玲:大学生。

 

・川瀬健:大学生。オカルト研究部のメンバー。

・堀田颯斗:大学生。川瀬健と同じオカルト研究部のメンバー。

 

ネタバレありの感想

 

まず村井翔太の次に川瀬健のインタビューが載っているので勘違いしやすいけれど、

村井翔太、杏、伊藤竜也、原美玲の四人と

オカルト研究部の川瀬健と堀田颯斗は別のグループの話

村井翔太たちが肝試しをした一か月後に川瀬健たちが墓地を訪れて、

杏の遺体を見つけたという流れ。

 

真相としては、村井翔太が伊藤竜也を殺そうとして、

木に「もうすぐあなたの前を通る人を、

木の幹にとまって羽化しようとしてる途中で死んだ白いセミのように殺してほしい」と

お願いをする。

しかし伊藤竜也はショートカットしたので木の前を通らず、

杏が通ったために、杏が呪われる

そして村井翔太、伊藤竜也、原美鈴、川瀬健、堀田颯斗の五人は、

墓地の木の下でロープに首をかけた状態であの日のことを話していて、

話し終えた後に台を蹴って自ら死んでいたというオチ

文字が赤くなっている部分で、それぞれの人物が死んでいたのが示唆されている

おそらく杏が死ぬときに木にお願いをした結果として、

木の下に五人が集められたんだろうけれど、

その時にポイントになるのがセミの鳴き声を聞いたというもの。

五人の話していることを、スマホを通して杏が聞いているという設定かな。

語り手の最初にある数字、例えば【201908262310.m4a】の【.m4a】は

iPhoneなどのApple製品で利用されている音声データの拡張子。

 

正直そこまで特別怖い話とは思わないけれど、

最後のアンケートやスマホ、

それに文字の色だったり色々と工夫されているのは分かる。

特に最後のアンケートによって、

今まで読んでいたものの意味が分かる(変わる)というのは面白いし、巧い

もっとも裏を返すと、

最後のアンケートが無いと至って普通の怖い話にすぎないので、

小説好きとしては評価しづらい。

 

ただのホラー小説ではなくて、色々な仕掛けが考えられているのは分かるし、

それもあって話題になったり、評価が高いのも分かる。

ただ小説や物語をメインで楽しみたい方にはあまり向いていない

もっとも、この薄さと小ささの本に小説や物語を期待する方もいないとは思うけれど。

 

『こじてるの読書感想文』の目次

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