【道尾秀介】『カエルの小指 a murder of crows』についての解説と感想

カエルの小指

本記事では道尾秀介さんの小説『カエルの小指 a murder of crows』を紹介します。

カエルの小指

著者:道尾秀介

出版社:講談社

ページ数:448ページ

読了日:2025年12月21日

満足度:★★★★☆

 

道尾秀介さんの『カエルの小指』

『カラスの親指』の続編。

 

あらすじ

詐欺師から足を洗い、実演販売士として働いている武沢竹夫。

ある日、いつものようにホームセンターでジューサーの

実演販売をしている武沢の前に、訳ありの中学生・キョウが現れる。

キョウの母親は、残酷な詐欺に遭った末、三階から飛び降りてしまったという。

犯人の居場所を突き止めるため探偵を雇おうとするキョウ。

そして、その資金を稼ぐため、キョウは武沢に実演販売を教えてほしいと頼み込む。

キョウを救うため、武沢はかつての仲間たちと共に大仕掛けを計画する。

 

主な登場人物

・武沢竹男:タケさん。テツからは「ミスターT」と呼ばれている。

      実演販売士。昔は詐欺師をしていた。

・キョウ:中学二年生。祖父と祖母と三人で暮らしている。

     祖父母は以前、「じょうはな」という呉服の仕入れを販売の会社を経営して

     いた。十四歳。

・まひろ:ファストフードの本社で働いている。

     「チョンマゲ」という猫を飼っている。三十一歳。

・やひろ:まひろの姉。専業主婦。三十八歳。

・貫太郎:やひろの夫。マジックグッズ製造メーカーで働いている。

・テツ:本名は「鉄平」。やひろと貫太郎の子供。

    動画投稿サイトで小遣いを稼いでいる。小学六年生。

 

・寺田未知子:キョウの母親。三階にあるフードコートのテラス席から飛び降りた。

・ナガミネマサト:寺田未知子を騙した詐欺師。

・津加和聖也:TSUGAWAエージェンシーの探偵。

 

・瀬谷ワタル:中年ベテラン人気タレント。

       『発掘!天才キッズ』と『撲滅ウォリアーズ』の司会。

・八重樫:『発掘!天才キッズ』のディレクター。

・軽谷:『撲滅ウォリアーズ』のディレクター。

 

ネタバレなしの感想

本作『カエルの小指』のストーリーは、

詐欺師から足を洗い、実演販売士として働く武沢竹男が中学生のキョウと出会う。

そのキョウの母親は詐欺に遭い、人生に絶望し、

テラスの柵を乗り越えて飛び降りてしまったという。

そんなキョウを助けようと、武沢竹男は、かつての仲間と共に大仕掛けを計画する、

というものになっている。

 

ということで、本作は『カラスの親指』の続編

まず序盤で明らかになるけれど、前作から十数年後の話

登場人物たちも、基本的には武沢竹男をはじめとして前作の登場人物たちが出ていて、

前作の話もかなり関わってくることになる。

なので、前作を読んでから本作を読むのが無難

 

読んだ感想としては、非常に面白かった

まず前作を読んでいて、どういう雰囲気の作品なのかを知っていたのが大きかった。

前作も本作も詐欺師たちが主役の物語で、コンゲームが描かれているんだけれど、

そのコンゲームが私が思っているものとは違う、

というのを前作を読んで分かった上で、本作を読んでいるのが大きい。

そして前作の登場人物たちのその後の姿や新しい活躍を見られた、

というのも非常に大きい。

その後の姿や活躍に関しては、期待に違わないもので、非常に満足度は高かった

 

前作を読んで面白かった方であれば、本作も期待を裏切らない面白さになっている

 

 

ネタバレありの感想

真相としては、武沢竹男たちが欺そうとしていたのは、キョウ。

テレビ番組を利用して、ナガミネマサトを追い込むことによって、

キョウに前を向いて生きようと思わせるのが目的

なのでナガミネマサトは、本人ではなくて、

劇団俳優の雁井航太という人物が演じている。

ちなみに雁井航太は前作のペテンに参加していた役者でもある。

 

そしてキョウの目的は、ナガミネを母親と同じ場所から突き落として、

それを父親である瀬谷ワタルに見せつける、というもの。

キョウは武沢たち五人を欺そうとしていた

しかし、最終的にはキョウは武沢たちのことを考えて計画を実行に移せなかった。

ちなみに瀬谷ワタルの本名が木本幸司。

 

前作を読んでいるので、素直なコンゲームにはならないのは分かっていた。

ただ、それでもまひろがナガミネ(雁井航太)に恋をしている場面では、

先が全く読めず、かなりドキドキする展開

結局はキョウが武沢たちを欺していたんだけれど、

私はテツが言ってた、武沢がキョウの父親という説を信じていたので、見事欺された

 

キョウが武沢たちのことを考えて思いとどまったというのは、

キョウと武沢たちの交流の描写が丁寧に描かれていたので、

すんなり受け入れらることができた

また作風的にも、本作にはこのオチが一番良い

キョウの父親が瀬谷ワタルというのは、個人的には意外だったけれど、

「発掘!天才キッズ」でのキョウのパフォーマンスでの瀬谷ワタルの態度に関しては、

違和感は覚えていたので、伏線の使い方としてもかなり巧い

 

武沢竹夫に限らず、まひろ、やひろ、貫太郎とチョンマゲと前作の登場人物たちの

その後の姿が描かれている。

これが個人的には非常に良くて、シリーズものだとキャラクターが変わっていたり、

思ったほど活躍しなかったりすることがあるけれど、

本作では期待通りに彼らの姿や活躍を読むことができたのが良かった

前作があったうえでの評価になるけれど、

個人的には前作より非常に満足度は高かった

 

シリーズ一作目の『カラスの親指』の感想はこちら

readover5.hatenablog.com

 

readover5.hatenablog.com