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【東野圭吾】 『眠りの森』についての解説と感想

どうも、こんにちは。

本記事では東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズの第二作目である、

小説『眠りの森』について紹介していきます。

眠りの森

『眠りの森』

著者:東野圭吾

出版社:講談社

ページ数:328ページ

読了日:2022年12月5日

 

加賀恭一郎シリーズの二作目!!

前作『卒業』では大学生として登場した加賀が刑事として登場する。

『眠りの森』ということで想像できるように、

『眠りの森の美女』やバレエが題材になっている。

 映像化は二度行われていて、一度目は1993年にテレビ朝日「土曜ワイド劇場」枠で

『眠りの森の美女殺人事件』で主演は山下真司さん。

二度目はいわゆる加賀恭一郎シリーズとして2014年1月にTBSで

『新春ドラマスペシャル新参者加賀恭一郎「眠りの森」』として放送された。

後者は2010年に『新参者』シリーズの続編で2012年の『麒麟の翼』につづく続編扱い。

主演は阿部寛さん。

 

あらすじ

あらすじ

名門バレエ団で男が殺された。

被疑者はバレエ団に所属するバレリーナ

正当防衛を主張するが、捜査の結果、いくつかの不審な点が見つかった。

そうした中、舞台稽古中にバレエ団の演出家が殺される事件が発生する。

『眠りの森の美女』を模した殺人事件で、第一の事件との関連はあるのか?

 捜査にあたる加賀恭一郎は被疑者の親友とダンサーと出会い彼女に惹かれていくが・・・

 

 

登場人物

加賀恭一郎:本作の主人公。大学卒業後は一度中学の教師になるも、その後刑事に。

      警視庁捜査一課所属。剣道六段。三十歳前後。

浅岡未緒:高柳バレエ団のダンサー。二十二歳。静岡出身。

斎藤葉瑠子:高柳バレエ団の団員兼事務局員。浅岡未緒の幼なじみ。二十二歳。静岡出身。

梶田康成:高柳バレエ団のバレエ・マスター、振付師、演出家。

高柳静子:高柳バレエ団の経営者。

高柳亜希子:高柳バレエ団の高柳静子の養子。

柳生講介: 高柳バレエ団のダンサー。斎藤葉瑠子の恋人。

森井靖子:高柳バレエ団のダンサー。未緒の三年ほど先輩。

太田:警視庁捜査一課所属。ベテランで加賀の先輩刑事。

富井:加賀たちの上司。

風間利之:第一の事件の被害者。

加賀の父親:刑事を退職している。

 

ネタバレなしの感想

感想

前作『卒業』の粗削りな感じからすると、かなりの完成度が高い作品になってる。

第一の事件の正当防衛の真相であるとか、

第二の事件の毒殺の方法なんかは質の違う謎になってる。

そして、浅岡未緒をはじめとするそれぞれのキャラクターがしっかり描かれている。

あと加賀が未緒に恋をするわけだけど、

加賀のキャラクターがここまで描かれるのは珍しいんじゃないだろうか?というぐらい

描かれている。

謎解きもあるんだけど、『卒業』よりも人間を描くのがより強くなっている感がある。

バレエの世界についてもかなり描かれていて、物語に深みをもたせている。

これがあるから女性ダンサーたちの魅力であるとか悲哀が際立つことになっている。

 

ネタバレありの感想

序盤で未緒の高柳亜希子に対しての『尊敬』とか『犠牲』の話がしっかりした伏線

なってるのを見るとやっぱりすごい。

ニューヨークの件を捜査してる時に『兄』の件もかな。

正当防衛の件は真相自体はそこまで驚きはないんだけど、

未緒の体調問題が絡むので葉瑠子が身代わりになるのは納得かな。

ひとつだけよくわからないのが柳生講介の件。

事件の真相語られてた?

森井靖子がやる理由は特にない気がするんだけどね・・・。

ニューヨークでの件そのものを気にするとしたら靖子ではなく、

亜希子だと思うんだけどね。

ここだけは納得できなかったな。

警察もの+一応のトリック+人間模様みたいな、

かなり完成度のたかいものになっていると思う。

悪く言うと何か尖がったものはないとも言えるかもしれない。

前作『卒業』の加賀よりかなり魅力を感じられる作品になっている。

最後の未緒と加賀のシーンはかなり良い

バレエの世界しか知らない未緒と加賀との会話とか

ラストの未緒と加賀との会話とかね。

あと、加賀と加賀の父親との電話のやり取りも良い感じ。

 

小ネタ

加賀は大学時代の相沢沙都子を恋人扱いしている。

『卒業』では沙都子に「好きだ。結婚してほしいと思ってる。」と冒頭で告白はしたけど、

プロポーズでもないし、恋人状態でもなかったはずなのに。

加賀は大学卒業後中学の教師になるも、

「生徒のためだと信じてやったことは、何一つ彼らのためにならなかった」と語っている。

その後、教師を辞めて刑事。

加賀は荻窪のアパートに住んでいる。

大泉学園であるとか石神井など東野圭吾さんが上京した時に住んでた

付近が舞台になっている。

西武ライオンズの秋山や清原など時代を感じさせる名前が出てくる。

映像化された作品を見たことが無いので何とも言えないけど、

2014年の阿部寛さんだと年齢的に合わないんじゃないかね。

作中でも書かれてるように30歳前後だとシックリくるけど、

それより上だといまいち合わない気がするんだけどね。

 

こんな人におすすめ

おすすめ

加賀恭一郎シリーズを読みたい人。

東野圭吾さんが好きな人。

「本格推理」や「本格ミステリー」より物語を読みたい人。