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【東野圭吾】『卒業』についての解説と感想

どうも、こんにちは。

本記事では東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズの第一作目である、

小説『卒業』について紹介していきます。

卒業

『卒業』

著者:東野圭吾

出版社:講談社

ページ数:372ページ

読了日:2022年12月1日

 

加賀恭一郎シリーズの第一作目。

加賀恭一郎が刑事になる前の大学生時代の物語。

この作品は東野圭吾さんの出版された作品でいうと二作目になる。

なので、単行本が出版されたのは1986年に発売されているので、かなり古い作品になる。

読んででも煙草のシーンの多さや会話に時代を感じる。

今作は本格ミステリー」「本格推理」というのか、

密室殺人やどんな手段で殺したか?が大きなテーマになっている。

一方それだけではなく動機の方もかなり描かれている。

後者に関しては今の東野作品に通じている感じもする。

最初に出版された時のタイトルは『卒業-雪月花殺人ゲーム』というように

副題がついていたが、2009年に新装版が刊行された際に『卒業』に改題された。

 

 

あらすじ

あらすじ

加賀恭一郎や相沢沙都子ら高校時代からの悪友7人組。

卒業を控えた大学4年の秋、牧村祥子が下宿先のアパートの自室で死体で発見された。

祥子の親友の相原沙都子は加賀恭一郎や仲間とともに

残された祥子の日記から真相を探っていく。

密室状態の下宿先での死は自殺か、他殺か?

そして高校時代の恩師である南沢雅子の誕生日に第二の事件が起こる。

毎年恒例の茶事「雪月花之式」で茶をたてている最中、

今度は金井波香が亡くなってしまう・・・。

 

登場人物

加賀恭一郎:主人公。国立T大学社会学社会学科4年生。剣道部員。

      剣道個人選手権二年連続優勝。 

      相原沙都子に対して好意を持っている。

相原沙都子:もう一人の主人公。国立T大学文学部国文科4年生。

      高校時代は剣道部兼茶道部

金井波香:国立T大学文学部英米学科の4年生。剣道部員。

     剣道県予選決勝でS大の三島亮子に敗れ準優勝。

     高校時代は剣道部兼茶道部

藤堂正彦:国立T大学理工学部金属工学科の4年生。

     高校時代は剣道部主将。

     牧村祥子の恋人。

若生勇:国立T大学4年生。伊沢華江の恋人。テニス部でも伊沢華江とペアを組む。

伊沢華江:国立T大学文学部国文科4年生。若生勇の恋人。

     テニス部でも若生勇とペアを組む。

牧村祥子:国立T大学文学部英米学科4年生。高校時代は茶道部

     藤堂正彦の恋人。

以上7人は県立R高時代からの友人関係にある。

 

三島亮子:S大4年生。剣道部。金井波香に勝って県大会優勝。

     三島グループの令嬢。

南沢雅子:加賀や沙都子のR高時代の恩師。茶道部の顧問。

佐山:祥子が亡くなった時にやってきた県警の刑事。

加賀の父親:刑事

 

ネタバレなしの感想

感想

加賀恭一郎シリーズの第一作目!!というよりかは東野圭吾さんの二作目という感じ。

どういうことかというとかなり粗削りな感じがする。

反面かなり描きたいものを描いてるのかなとも感じる。

まずはアパートの密室の謎。

次に 「雪月花之式」の謎。

ここらへんは(おそらく)当時主流だった「本格推理」要素かなと想像してる。

いわゆる古典的なトリック要素にあたる。

これにプラスしてそれぞれの人間を描こうとしてる感じかな。

後者に関してはやはり若干の粗削り感が強く感じた作品。

話のオチの部分はタイトル通りというのか学生から社会人になる区切りとか

甘酸っぱさへの決別とかを感じた。

 

ネタバレありの感想

まず一つ目の謎である密室の件。

サッシの鍵に形状記憶合金を使っているというのは、

これは理系の東野さんらしいトリックということになるのかな。

ここらへんはなんか後のガリレオシリーズを彷彿とするものがある。

二つ目の謎の「雪月花之式」は正直何回も読んでもいまいち理解できなかった。

まあ、簡単に言えば波香が藤堂と組むことによって若生に毒を盛ろうとしたら、

それを藤堂に利用されて波香が殺されてしまったということかな。

動機面の話。

祥子が自殺したのは、まぁ、わかる。

また、藤堂が証拠を助けなかったのもわかる。

ただ、藤堂が波香を殺すことに関してはかなりの飛躍があるように思えるんだよね。

ただ、ギリギリ藤堂のこの行為までは納得したとしてだよ、

問題は南沢雅子がなぜ藤堂の犯罪というか

証拠隠滅に協力したのかが全く理解できないんだよね。

書いてて思ったんだけど藤堂が南沢邸の風呂釜に証拠を隠すのもかなり不用心だよね。

警察が調べる可能性と南沢先生が見つける可能性が十分あるんだから。

実際南沢先生は証拠を見つけたみたいだし。

というか警察はなんで風呂釜を調べなかったんだろうか?

藤堂は完全犯罪であると自信あったらしいけど、どう考えても無理があるよな。

「雪月花之式」だけで見れば、そりゃ完全犯罪だろうけどさ。

「雪月花之式」の周囲を見たらツッコミどころありまくりなんじゃないかと。

 

小ネタ

波香の墓参りに来るのは二度目と加賀が言ってるけど、

波香が亡くなってから四十九日経ってるのか?

 

加賀の母親はこの作品時点で『蒸発』したという設定がある。

また、加賀の父親は現役の警察官である。 

 

こんな人におすすめ

おすすめ

加賀恭一郎シリーズが好きな人や読みたい人。

東野圭吾さんが好きな人。

大学生という大人でも子供でもない時期の話が好きな人。