本記事では結城真一郎さんの小説『やらなくてもいい宿題』を紹介します。
やらなくてもいい宿題
出版社:主婦の友社
ページ数:176ページ
読了日:2025年4月23日
満足度:★★☆☆☆
結城真一郎さんの『やらなくてもいい宿題』。
あらすじ
5年1組の東雲数人のクラスに女の子・ナイトウカンナが転校してきた。
ナイトウカンナは不思議な子で、
いつもニコニコ楽しそうにみんなの話を聞いているのだけど、
自分のことは「内緒」とはぐらかしてばかりいるのだった。
そんなナイトウカンナのことが気になる東雲数人が
ナイトウカンナを質問攻めしていると、
算数で勝負をしないか?と持ち掛けられる。
もし正解したら、質問に答えてくれるとのことなので、
東雲数人は勝負することにするが。
登場人物
・東雲数人:5年1組の生徒。算数が得意。
・ナイトウカンナ:東雲数人のクラスにやってきた転校生。東雲数人の隣の席。
・新城航平:5年1組の生徒。東雲数人の幼稚園の頃からの親友。
・水野:5年1組の担任の先生。先生になって1年目の新米教師。
・魔女ばぁ:住宅街の外れに立っている古びたお屋敷に住んでいるおばあさん。
「クロ」という猫を飼っている。
ネタバレなしの感想
小学5年生の男の子・東雲数人と謎の転校生・ナイトウカンナによる
「算数バトル」が描かれている『やらなくてもいい宿題』。
まず最初に書いておくと、
本書は完全な児童書で子供向けの本になっているので注意が必要。
結城真一郎さんの『#真相をお話しします』や『難問の多い料理店』は大人向けで、
ミステリー小説だったけれど、これらとは完全に趣向は変わっている。
ストーリーとしては、主人公の男の子が転校生の女の子に出逢うという、
子供向けの小説としては王道的なストーリーで、
ボーイ・ミーツ・ガールものになっている。
そして本書の特徴ともいえるのがサブタイトルにある「算数バトル編」。
転校生の女の子・ナイトウカンナが出す算数問題を、
算数が得意な東雲数人が解き明かし、
ナイトウカンナの謎に迫るというものになっている。
この算数問題がただの算数問題ではなくて、
ある仕掛けがあるんだけれど、
正直大人であれば読んでいるとすぐ分かるようなレベルのもの。
なので最初に書いたように大人が「何か」を期待して読むと
かなり肩透かしを食らってしまうかもしれない。
大人の私はむしろ算数問題の方に
「こういう問題あったな」と懐かしさを覚えたぐらい。
「旅人算」は計算方法は知っていたけれど、名称を知らなかったので、
そこらへんも含めて読んでいて楽しさはあった。
ストーリー自体は悪くは無いけれど、
「算数バトル」ということもあって、ストーリーを目的に読むほどのものではない。
子供であればストーリーと算数問題と仕掛けも含めて楽しめるかもしれない。
大人が買う場合は、
あくまで子供向けということを理解した上で買うこと(読むこと)をおすすめする。
ネタバレありの感想
算数自体は子供の頃に勉強しているので、
こういう計算問題あったなと懐かしさを感じながらも、
普段計算問題をやらないので結構苦戦してしまった。
あと計算の名称自体は覚えてないというか、
教えてもらった記憶がないんだけれど、名称も含めてみんな知っているもんなのかな?
ということが若干気になった。
「つるかめ算」だけは覚えていたんだけれど。
ナイトウカンナが出すクイズのひっかけの方はかなり簡単で、
算数問題よりもこちらの方が簡単だった。
ここらへんは算数問題とは離れている大人ならではなのか、
子供にとっても同じなのかは私には分からない。
ストーリーは子供向けということもあってストレートな話で分かりやすい。
ナイトウカンナの正体は怪盗ランマで、そのために転校を繰り返しているので、
別れるのがつらいために「内緒」と答えていたとのこと。
ちなみにナイトウカンナというのは偽名。
捻りとしては魔女ばあの正体が水野先生で、
水野先生は怪盗ランマの協力者というもの。
ベタではあるけれど私は結構好きな話で、エピローグも含めて良かった。
物語に算数問題があって、
さらにひっかけがあってという複数の要素で成り立っている本。
あんまり期待してなかったのもあったけれど、読後感は結構良かった。