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【米澤穂信】『春期限定いちごタルト事件』についての解説と感想

本記事では米澤穂信さんの小説『春期限定いちごタルト事件』を紹介します。

小市民シリーズの一作目である。

春期限定いちごタルト事件

春期限定いちごタルト事件

著者:米澤穂信

出版社:東京創元社

ページ数:251ページ

読了日:2023年9月2日

 

米澤穂信さんの『春期限定いちごタルト事件』。

小市民シリーズの一作目。

連作短編集になっている。

小鳩君と小佐内さんの高校一年の一学期の出来事が描かれている。

2024年7月からテレビアニメ化されることが決定した。

 

・プロローグ

 

・羊の着ぐるみ

あらすじ

船戸高校に入学した小鳩常悟朗と小佐内ゆき。

四月半ばの放課後に堂島健吾から吉口のポシェット探しを頼まれる。

学校内を探すがポシェットは見つからなかったので、

健吾と吉口は警察に被害届を出そうとするが、

小鳩は被害届を出す前にポシェットを見つけ出そうとする。

 

ネタバレありの感想

消えたポシェットの話。

あからさまに怪しい高田を見たら犯人自体はすぐに分かるかな、

私はラブレターってのはちょっと分からなかったけれど。

小鳩はいきなり探偵をやるけれど、

警察に届ける前に話が大きくならないようにしようとしているので

一応は理解できるか。

 

・For your eyes only

あらすじ

島健吾から絵について知恵を貸してくれと言われた小鳩常悟朗。

美術室を訪れた小鳩は美術部員の勝部から

卒業した大浜という先輩が二年前に書いた絵を見せられる。

絵は二枚あり、二枚とも同じ田園風景、太陽、野原、山並みの絵だった。

 

ネタバレありの感想

ほとんど同じ二枚の絵の話。

間違い探しってのは絵の題名が『三つの君に、六つの謎を』ってところで分かるかな。

最後の勝部の言動は間違っていないんだろうけれど、読後感は悪い。

 

・おいしいココアの作り方

あらすじ

島健吾から絵のお礼として家に招待された小鳩常悟朗と小佐内ゆき。

二人は健吾からおししいココアを振る舞われる。

二人は健吾の姉・千里と台所で三人になった時に

千里はシンクが乾いていて、使ったのはスプーンだけと指摘する。

健吾は鍋を使わずにどうやってミルクを温めたのか?

 

ネタバレありの感想

謎解きとしてはフェアなんだろうけれど、

牛乳パックごとレンジで温めるという私には全く想像できなかった。

健吾が小鳩の小学生時代の話を語っている。

 

・はらふくるるわざ

あらすじ

小佐内ゆきから〈ハンプティ・ダンプティ〉に誘われた小鳩常悟朗。

ハンプティ・ダンプティ〉は小佐内のお気に入りで、

つい食べ過ぎてしまうので二度と行かないと固く決心していたはずだった。

小佐内に何かあったと考えた小鳩は小佐内からテスト中に栄養ドリンクの瓶が落ちて、

割れた話を聞く。

忘れた携帯電話を学校に取りに戻った小鳩は小佐内の教室で、

自分の考えを証明しようとする。

 

ネタバレありの感想

テスト時間中であることを考えたらカンニング目的だろうということは分かるけれど、

犯人に慢心か油断があったって証拠を残しておくとは思えないよな。

小佐内のキャラクターが徐々に露わになってきている。

 

・孤狼の心

あらすじ

小佐内が生徒指導室に呼び出され、

盗まれた自転車が路上に捨てられていたことが分かった。

自転車を取りに行った小鳩と小佐内は自転車を盗んだサカガミが

急いで目的地に向かっている時に故障した自転車を放置したと推理した。

二人はサカガミが「木良北自動車学校」行きの送迎バスに乗ったことを突き当てる。

サカガミに復讐しようとする小佐内に危険が迫っていると判断した

小鳩は堂島健吾に助けを依頼するが。

 

ネタバレありの感想

「For your eyes only」でサカガミに盗まれた自転車、

「はらふくるるわざ」のラストで再登場したサカガミと自転車、

その自転車が見つかるシーンからはじまる。

サカガミが免許証をとる目的も大きなポイントだけど、

それより小鳩と小佐内がなぜ小市民を目指すことになったのかが面白いかな。

 

・エピローグ

ネタバレありの感想

このオチは好き。

 

登場人物

・小鳩常悟朗:船戸高校一年。

・小佐内ゆき:船戸高校一年。クラスはC組。

・堂島健吾:船戸高校一年。新聞部員。小鳩常悟朗と小学校が一緒だった。

     「羊の着ぐるみ」、「For your eyes only」、「おいしいココアの作り方」、     

     「孤狼の心」に登場。

・サカガミ:水上高校一年。「For your eyes only」、「はらふくるるわざ」、

     「孤狼の心」に登場。

 

・吉口:船戸高校一年生。ポシェットを盗まれた被害者。「羊の着ぐるみ」に登場。

・下村:船戸高校一年生。「羊の着ぐるみ」に登場。

・高田容一:船戸高校一年生。「羊の着ぐるみ」に登場。

・勝部飛鳥:船戸高校三年生。美術部。「For your eyes only」に登場。

・大浜:船戸高校の卒業生。元美術部員。「For your eyes only」に名前だけ登場。

・堂島千里:船戸高校生。堂島健吾の姉。

     「おいしいココアの作り方」、「孤狼の心」に登場。

 

総評

ライトノベルの定義を知らないけれど、ライトノベルっぽさはかなり感じる小説。

日常的なミステリーで、ハッキリ言って謎自体は弱いし、

真相も驚くようなのは少ない。

「おいしいココアの作り方」は驚くけれど、かなりくだらないかな。

酷評してるように見えるだろうけれど、

私は結構好きでそれは小鳩と小佐内のキャラクターが好きだから。

このキャラクターを好きになれるかどうかじゃないかな。