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【東野圭吾】『白銀ジャック』についての解説と感想

本記事では東野圭吾さんの小説『白銀ジャック』を紹介します。
スキー場シリーズ(白銀ジャックシリーズ)の一作目である。

白銀ジャック

白銀ジャック

著者:東野圭吾

出版社:実業之日本社

ページ数:416ページ

読了日:2024年1月19日

 

東野圭吾さんの『白銀ジャック』。

スキー場シリーズ(白銀ジャックシリーズ)の第一弾である。

2014年に渡辺謙さん主演でテレビドラマ化されている。

 

あらすじ

年の瀬の新月高原スキー場に、

「積雪量たっぷりのゲレンデの下にタイマー付きの爆発物を仕掛けた。

3000万円を用意すること。」という脅迫状が届いた。

スキー場の索道部マネージャーの倉田玲司は警察に通報することを進言するが、

経営陣は風評被害を恐れ、警察に通報せずに、犯人の要求に応じる判断を下した。

しかし、3000万円を受け取った犯人は、

爆弾を埋めてない一部のエリアを教えただけで、爆弾を埋めた具体的な場所を教えず、

さらに3000万円を要求してきた。

犯人の言いなりになる状況に不満を感じたスキー場のパトロール隊員の根津昇平は、

二回目の金の引き渡しで犯人の手がかりを掴もうとするが、犯人に逃げられてしまい、

3000万円を犯人に奪われてしまう。

そして三回目の犯人の要求はさらにエスカレートすることに。

そんな中、根津はある人物が犯人ではないかと怪しんでいた、

それは一年前にスキー場で妻を事故で亡くした入江義之だった。

 

登場人物

・根津昇平:新月高原スキー場のパトロール隊員。元スノーボードクロスの選手。

・藤崎絵留:新月高原スキー場のパトロール隊員。

      アルペンスキーでオリンピックを目指した経歴を持っている。

・桐林祐介新月高原スキー場のパトロール隊員。今年入った新人。

・上山禄郎:新月高原スキー場のパトロール隊員。

 

・倉田玲司:新月高原スキー場の索道部マネージャー。索道技術管理者。

・津野雅夫:新月高原スキー場の索道部主任。

・辰巳豊:新月高原スキー場のゲレンデ整備主任。

・松宮忠明:新月高原スキー場の索道事業部本部長。スキー場の安全統括管理官。

 

・瀬利千晶:女性スノーボーダー

      新月町の居酒屋で住み込みのアルバイトをしている。

・横内幸太:瀬利千晶の従兄弟。大学二年生。

・横内快人:瀬利千晶の従兄弟。横内幸太の兄。

 

・入江義之:妻の香澄を事故で亡くしている。一年振りにスキー場を訪れた。

・入江達樹:入江義之の息子。小学校五年生。

・入江香澄:故人。入江義之の妻。一年前に新月高原スキー場で亡くなった。

 

・日吉浩三:ロイヤルスイートに宿泊している老人。

・日吉友恵:日吉浩三の妻。

 

・中垣:新月高原ホテル事業本部長兼支配人。

・宮内:新月高原ホテル総務部長。

・佐竹:新月高原ホテル営業部長。

・筧純一郎:新月高原ホテルアンドリゾート株式会社の社長。

      広世観光株式会社取締役。

・小杉友彦:筧純一郎社長の秘書。

 

・増淵康英:北月町の町長。

・増淵英也:増淵康英の息子。北月町役場勤務。

・長井:北月町の副町長。

・岡村:北月町の観光課長。

 

ネタバレなしの感想

メインストーリーは、スキー場のゲレンデに爆発物が仕掛けられていて、

遠隔操作によってタイマーを発動させて、雪崩を起こすことができるので、

お金を要求するという脅迫状がスキー場に届くというもの。

そこに一年前のスキー場で起きた事故が関わってくるというもの。

前半の脅迫のところを読めば緊迫感あるストーリーだと思えるんだけれど、

実際に読んでみるとそうでもなかった。

スキー場としては警察に届けるわけでもないし、

そもそも爆発されたらそこで話は終わってしまうので、

普通に取引が何回か続くという流れになっている。

また爆発物を探すのも雪の下ということで難しいということで早々と断念してしまう。

なので中盤までは結構盛り上がりに欠けて、退屈な感じになっている。

ただ、終盤からの盛り上がりと

複数のストーリーがひとつに収斂していくのは流石の一言。

謎解きとしては評価しにくいけれど、ライトなサスペンスとして読む分には悪くない。

 

 

ネタバレありの感想

とにかく中盤までがあまりにも退屈であるのが最大にして唯一の欠点で、

これを乗り越えられるかどうかという感じ。

事件の真相としては採算が合わないお荷物の北月エリアを切り離すために、

爆薬を使い、雪崩を起こすというものだけど、

筧社長たち経営陣側が最初から怪しさ満点というのもあってそこまで驚きはなかった。

もっとも、地元の警察や消防を引き込んでいるほどの計画の割には、

爆破後のリフト小屋が一部破損しただけで、大きな被害が無かったというのは、

間抜けというかなんというか。

若干不審な桐林祐介とそして何かあるだろうなと思わせる日吉夫妻が

最後の最後に関わってくるのはやっぱりうまい。

増淵英也と桐林祐介が入江香澄の事故の二人組なんだけど、

正直ここまでくると設定を詰め込みすぎかなと思う。

序盤から登場していた瀬利千晶も一応見せ場はあったりと、

最後には綺麗にまとまってる印象。

良くも悪くも軽い気持ちで読んで楽しむ一冊だろう。