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【東野圭吾】『マスカレード・ホテル』についての解説と感想

本記事では東野圭吾さんの小説『マスカレード・ホテル』を紹介します。
マスカレードシリーズの一作目である。

マスカレード・ホテル

マスカレード・ホテル

著者:東野圭吾

出版社:集英社

ページ数:520ページ

読了日:2024年3月10日

満足度:★★☆☆☆

 

東野圭吾さんの『マスカレード・ホテル』。

マスカレードシリーズの第一弾。

木村拓哉さん主演で映画化されている。

 

あらすじ

都内で三件の殺人事件が起きた。

事件現場に残された不可解な暗号から、連続殺人事件として捜査されることになった。

その残された暗号を解読した結果、

次の犯行場所が都内の一流ホテル・コルテシア東京ということが判明する。

しかし、分かっているのは犯行場所だけで、容疑者もターゲットも不明。

そこで若き刑事・新田浩介がホテルマンに化けて潜入捜査に就くことになり、

その新田の教育係になるのが女性フロントクラークの山岸尚美。

彼らの前に次から次へと怪しげな客たちが訪れる中、

二人は真相に辿り着くことができるのか?

 

登場人物

・新田浩介:警視庁捜査一課の刑事。警部補。フロントクラークとして潜入する。

・山岸尚美:フロントクラーク。新田浩介の指導係。

 

捜査関係者

・本宮:警視庁捜査一課の刑事。新田と同じ係にいる。

・尾崎:警視庁捜査一課の管理官。

・稲垣:警視庁捜査一課の係長。

・関根:警視庁捜査一課の刑事。巡査。ベルデスクとして潜入する。

・真淵:ハウスキーパーとして潜入している女性の捜査員。

・能勢:品川警察署刑事課。

 

ホテル・コルテシア東京のスタッフ

・藤木:総支配人。

・田倉:宿泊部長。山岸尚美や久我の直属の上司。

・片岡:総務課長。

・久我:フロントオフィス・マネージャー。

・杉下:ベルキャプテン。

・町田:入社一年目の新人ベルボーイ。

・川本:若手のフロントクラーク。

・小野:若いフロントクラーク。

・浜島:エグゼクティブ・ハウスキーパー

・仁科理恵:宴会部ブライダル課。尚美と同期入社。

 

事件関係者

・岡部哲晴:第一の事件の被害者。会社員。

・手島正樹:岡部哲晴と同じ職場の先輩。

・本多千鶴:手島正樹の元恋人。

・井上浩代:本多千鶴の友人。

・野口史子:第二の事件の被害者。主婦。

・野口靖彦:野口史子の夫。町工場の経営者。

・畑中和之:第三の事件の被害者。高校教師。

 

ホテル・コルテシアの宿泊客

・古橋:宿泊客。以前宿泊した際に、チェックアウト後にバスローブが紛失していた。

・片桐瑤子:宿泊客。白い手袋をしている視覚障害の老婦人。

・安野絵里子:宿泊客。二十代半ばの長身の女性。

・館林光弘:宿泊客。スイートルームを予約している長身の男性。

・栗原健治:宿泊客。新田を指名してクレームを入れてくる小太りの男。

・渡辺紀之:宿泊客。ホテル・コルテシアで結婚式を行う予定。

・高山佳子:宿泊客。渡辺紀之の結婚相手。ストーカーの被害に遭っている。

・森川寛子:宿泊客。和風美人。

 

・北川敦美:高山佳子の友人。

・松岡高志:モデル。一か月ほど前に自宅で亡くなっている。

      『劇団やっと亀』に所属していた。

・高取清香:松岡高志の同棲相手。設計事務所のデザイナー。

 

ネタバレなしの感想

ストーリーは、連続殺人事件の次の事件現場と推測されたのが

ホテル・コルテシア東京で、このホテルを舞台に物語は描かれている。

テルマンに化けた刑事の新田浩介と、

新田を教育することになったフロントクラークの山岸尚美、

この二人を中心に物語は展開していく。

当初は刑事とホテルマンという、立場や価値観が異なることから

新田と山岸は衝突をすることになる。

 

ホテルを訪れる客も多種多様で、

前回宿泊時にバスローブが紛失してた客で、

今回チェックアウトする直前にハウスキーパーが部屋を調べると

またもバスローブが紛失していたり、

視覚障害者で常に手袋をしている客、

新田に対して執拗なクレームを入れてくる客。

 

ホテル内で起きる出来事を通して新田と山岸は理解し合うようになっていき、

ホテルで経験したことが事件に対する新しい視野を与えて、

事件の真相解明に向かっていくことになる。

 

警察小説とお仕事小説のミックスでもあり、

若手刑事・新田の成長物語的要素もあるけれど、私には正直合わなかった。

ミステリー小説としても、お仕事小説としても、

特に何か秀でているものがあるとは思えない。

正直amazonの評価がここまで高いのが全く理解できなかった。

 

 

ネタバレありの感想

X4=長倉麻貴の山岸尚美への犯行は正直無理があるとしか思えないんだよな。

松岡高志と山岸が同じ方法で殺されたら、

警察が二つの事件を結びつけるのを恐れたとあるけど、

松岡と長倉の関係性を考えたら、

連続殺人事件に見せかける必要があるのは松岡の方だろう。

実際、松岡の方から能勢はあっさりと長倉に辿り着いているわけで。

 

あと新田浩介と能勢の会話で、

X4は野口に自宅のパソコンを使わないように釘を刺さなかったのか?

という疑問に対して、

事件の構造が警察に知られても他に殺害計画を持っている場合は、

メリットがあると言うけど、これに関しては意味不明すぎる。

415ページと416ページの新田と能勢の会話は読んでいて全く理解できなかった。

この二人のやりとりがないと能勢が都内で起きた殺人事件を

調べる動機がないから必要なんだろうけど、かなり苦しいかなと思う。

 

あと個人的には老婆が実は三十五歳の女性なんですと言われても、

無理がありすぎるとかしか思えないんだよな。

しかも、新田含めて警察は客を疑っている状態であることを考えたら。